春うらら

「長い前置き」の後にある文章

変わりゆく景色と価値観、そして変わらぬ愛【サマーフィルムにのって】

みなさまご機嫌いかがですか。本日は映画サマーフィルムにのってを鑑賞したのでそちらの感想をざっと綴っていきます。

 

数ヶ月前、とある良い感じの映画館に行った際、壁に貼ってあったポスターを見て以来、絶対にこの映画館でこの映画を見よう…!と思っていました。無事公開日当日に見ることができたので非常に満足です。(ブログ更新は公開して数日経っていますが)

 

 

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映画館の壁に貼ってあったポスター

 

さて映画の内容ですが、まず純粋に面白かったです。ハダシ監督の時代劇が好きだと言う「愛」を中心に劇中に出てくるみんなの「好き」の気持ちがまっすぐで気持ちが良かったです。

本当に一人ひとりの登場人物が魅力的だったのですが、今回はハダシ監督凛太郎、あと花鈴監督(と隼人くん)についてつらつらと私の思うところを言わせてください。

 

ハダシ

 

伊藤万理華さん演じるハダシ監督は、体は小柄なものの1時間半ずっと圧倒的な存在感を放っていました。

 

ただ真っ直ぐに時代劇や勝新太郎を愛する姿を全力でお芝居されているのもそうなのですが、声がとても良く通るのがすごく良かったです。

 

『猪太郎』を見つけ逃げる彼を追いかけ回すシーン、そして合宿の、映画を撮るのを諦めかけているハダシ監督を追いかける凛太郎のシーン。結構分かりやすい対比がめちゃめちゃに『エモい』なって思いました。

 

ハダシが凛太郎に抱くのは恋心。凛太郎はハダシ『監督』を愛していたので、お互いに放った「好きです」は少しベクトルは違ったのかもしれませんが、2人とも純粋に、真っ直ぐに映画を愛していたから通じ合ったのだと思います。

 

 

そしてなんと言ってもラストシーン

 

 

大きな体育館で、ハダシと凛太郎が武士の青春のラストシーンを撮るためにデッキブラシ(剣)を交えあう姿の緊張感。

 

体格差があるはずなのにそれを思わせない動きの大きさと流麗さが出す存在感に思わず息を止める勢いで見入ってしまいました。

 

凛太郎

 

金子大地さん演じる凛太郎。映画館でコケてたり終わった後号泣していたりのシーンをはじめ、ずっとクスッと笑えるような、コミカルなお芝居をしているはずなのにどこかに儚さを感じたり、リアリティ説得力があるのは何故でしょうか。

 

何故でしょうかと言っておきながら自分で答えを出しちゃいますが、眼力が凄いんです。

 

少し話はずれますが、よくアイドルやアーティストがテレビなどでカメラに向かってパフォーマンスすることがありますが、「カメラのレンズを見ている目」と「カメラの向こう側の観客目」があると思っています。

 

それと似た感じで、金子大地さんはお芝居をしている時、彼の目は相手の「目」を見ているのではなく、相手の「心」を見ているように感じられるのが個人的なスゴイポイントです。

 

花鈴(と隼人)

 

花鈴監督はめちゃくちゃ良い人でした。

見た人はみんな好きなんじゃないでしょうか。

 

一見、自分が一番カワイイと思っているプライドの高いいや〜な女の子かと思いきや、彼女もまた、純粋に映画を愛している女の子ってところが良いですよね。

 

映画部として、ひたむきに良い作品を撮ろうとする姿、そして自分の撮る映画には「絶対に想いを伝える」というこだわりを持っているところに彼女の映画愛を感じました。

 

隼人さんは最初から最後まで何だかよく分からない存在だなと思いながら映画を見ていたのが、帰り道でいろいろ考えているうちに、彼は彼で、純粋に花鈴が好きで、一生懸命に頑張る彼女を愛していたのだなと思いました。

 

隼人は花鈴を愛してたのに対し花鈴は映画に真っ直ぐで、隼人のことは良き相棒、くらいにしか思っていなかったのでしょうがその想いの違いと同じ熱量感が殊更2人というキャラクターを愛せる要素にたらしめている感じもします。

 

とまあそんなこんなで、映画が終わりさわやかな気持ちで帰り道に着き、電車の中で読んだパンフレットの中に後日譚漫画を読んだのですがこれがまた映画と同じがそれ以上に良すぎて思わず涙しました。

 

2人がそれぞれの時代でそれぞれの形で映画に向き合い、映画を撮る姿。

離れ離れになっても「映画」で、「映画を愛する心」でつながっているということ。

 

 

そして何より「大好きなものを全力で愛すること」の尊さに

 

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